ノロウイルスってどんなウイルス?

ノロウイルスは1972年に電子顕微鏡による観察でその形態が明らかになり、「ノーウォークウイルス(Norwalk virus)」あるいは「小型球形ウイルス(SRSV)」と呼ばれていました。

その後、遺伝子解析技術が発展し、PCR法とよばれる検体からウイルスの遺伝子を単離し、その配列を調べることによってウイルスを同定する技術が確立されたことにより、ウイルスの遺伝子解析が進み、
2002年、第12回国際ウイルス学会において、それまで「ノーウォークウイルス」あるいは「小型球形ウイルス」と呼ばれていたものを「ノロウイルス(Norovirus)」、「サッポロ様ウイルス」と呼ばれたものを「サポウイルス(Sapovirus)」と定め、正式な分類学上の名前が決められました。



どうやって感染するの?

ノロウイルスの感染はほとんどが経口感染(口から体内に入り感染する)であり、次のような感染経路があると考えられています。

●感染者のウイルスが大量に含まれる便や吐物などから直接もしくは二次的に感
  染する場合

●調理などを行う食品取扱者が感染しており、その者を介して汚染した食品を食べ
  た場合

●ウイルスに汚染された貝類(特に二枚貝)を、生あるいは十分に加熱調理しない
  で食べた場合

●ウイルスに汚染された井戸水や簡易水道を消毒不十分で摂取した場合

などがあります。
特に、食品取扱者を介して二次感染する食中毒のケースが近年増加傾向にあります。



感染するとどんな症状がでるの?

潜伏期間(感染から発症までの時間)は24〜48時間で、主症状は吐き気、嘔吐、下痢、腹痛であり、発熱は軽度(37〜38℃くらい)です。

症状は通常であれば1〜2日ほど続いた後、治癒します。また後遺症が残ることもありません。ただし、免疫力の低下した老人や乳幼児では長引くことがあり、激しい嘔吐や下痢による脱水症状に気をつける必要があります。

また、感染しても発症しない場合や軽い風邪のような症状のみの場合もあります。



どうやって診断するの?

臨床症状からだけではノロウイルスによる感染は特定でないため、ウイルス学的な診断を行います。通常、患者の便や吐物を用いて、電子顕微鏡法、RT-PCR法、リアルタイムPCR法などの遺伝子を検出する方法でウイルスの検出を行い、診断します。
便には通常大量のウイルスが排泄されるので、比較的容易にウイルスを検出することができます。




治療法は?

2007年現在、このウイルスに有効な抗ウイルス剤はなく、通常、対症療法が行われます。

特に、免疫力の低い乳幼児や高齢者は、脱水症状を起こしたり、体力を消耗したりしないように、水分と栄養の補給を充分に行ってください。脱水症状がひどい場合には水分の損失を防ぐために病院で輸液を行うなどの治療が必要になります。

下痢止め薬は、病気の回復を遅らせることがありますので使用しないことが望ましいでしょう。



予防法を教えて!

患者の便や吐物には大量のウイルスが排出されますので、

●食事の前やトイレの後などには、せっけんを使いしっかりと手を洗いましょう。

●タオルなど共用で使用するものを避けることも必要です。

●下痢やおう吐等の症状がある方は、食品を直接取り扱う作業をしないようにしま
  しょう。

●食品中のウイルスは加熱により感染性をなくすことができます。食品の中心温度
  が 85℃ 1分以上になるようにしっかり熱を通して食べましょう。

●便や吐物の処理をする時は素手で触らず、必ずビニール手袋を使用しましょう。
  汚物の消毒は市販の塩素系消毒剤(漂白剤)を希釈したものを使用してください。




二次感染を防ぐには?

下痢の症状がなくなったからといって安心してはいけません。患者の便にはしばらくウイルスの排出が続きます。患者の便や嘔吐物を処理する際には使い捨ての手袋を使用し、用便後や調理前の手洗いを徹底しましょう。

便や嘔吐物はペーパータオル等で取り除き、ビニール袋に入れてください。 残った便や嘔吐物の上にペーパータオルをかぶせ、その上から50倍〜100倍に薄めた市販の塩素系漂白剤を十分浸るように注ぎ、汚染場所を広げないようにペーパータオルでよく拭きましょう。

ウイルスは乾燥すると空気中に漂い、これが口に入って感染することがありますので、便や嘔吐物を乾燥させないことが重要です。



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