ここでは高血圧症のガイドラインについて説明していきましょう。
ガイドラインとは国(厚生労働省)が定める一定の定義の事で、全国の医療機関が、このガイドラインを基準に病気の診断と治療方針を下す事になっています。
もう少し簡単に言えば、高血圧症の参考書という感じで理解してもらうと良いかと思います。
これまでにも説明してきた通り、高血圧症にはその原因や症状、あるいは生活習慣や環境などによって、色々なケースが考えられるため、一定の考え方に沿った治療や指導を行わないと、あらぬ誤解や混乱を招く可能性があります。
そして、ガイドラインを設定する事によって、そのガイドラインを超えたものについてはとりあえず健康保険を適用して、治療を含めた医学的な指導や行為を行えると定められているのです。
現在各医療機関が採用しているガイドラインは、日本高血圧学会が2009年に定めたものです。
これによると、1.高血圧の分類、2.治療計画、3.臓器障害を合併する高血圧症の治療、4.高齢者高血圧の治療について記載されています。
また具体的な血圧の数値としては
1.至適血圧(理想的な血圧):最高血圧が120mmHg未満で、かつ最低血圧が80mmHg未満。
2.正常血圧:最高血圧が130mmHg未満で、かつ最低血圧が85mmHg未満。
3.正常高値血圧:最高血圧が130〜139mmHgで、かつ最低血圧が85〜89mmHg。
4.I度高血圧:最高血圧が140〜159mmHgで、かつ最低血圧が85〜89mmHg。
5.ll度高血圧:最高血圧が160〜179mmHgで、かつ最低血圧が100〜109mmHg。
6.lll度高血圧:最高血圧が180mmHg以下で、かつ最低血圧が110mmHg以下。
7.孤立性収縮期高血圧(収縮期高血圧):最高血圧が140mmHg以下で、かつ最低血圧が90mmHg以下。
の7つのステージに分類されています。
医学的には3の正常高値血圧からは高血圧症の疑いありのため、生活指導を適切に行い経過を観察する、という診断が下される事になり、5.ll度高血圧以上になると投薬治療など積極的な治療が行われるようになります。
また高血圧症は、背後に大きな病気が潜んでいる可能性もあり、かなりの高確率で動脈硬化症、糖尿病、脂質異常、高脂血症、心臓病などを合併している事から、これらの検査も合わせて行う事がルーチンとなっています。
7.の孤立性収縮期高血圧とは、血管が収縮した時の血圧のみが高い数値を示すもので、血管の動きや心臓の状態に問題があると考えられます。


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